Lesson 4-8 社交文書の書き方

社交文書の性格

社交文書が社外文書と異なるのは、ビジネスには直接関係しないということです。
しかし、取引先やお客様と良好な関係を続けていくために、必須とされているものでもあります。
暑中見舞いや年賀状などは、プライベートでも出すことや貰うことに慣れてしまっているので、ついおざなりになってしまいがちです。

しかし、社交文書はビジネス文書より儀礼的な性格が強くなる分、文章表現やエチケットには細心の注意を払う必要があります。

ここでも、相手を思いやる気持ちや心遣いを忘れないことがとても大切です。

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基本は縦書き

社交文書の基本は縦書きです。白い無地の便箋を用いましょう。
社名入りの便箋や、普段の業務で使っているようなレポート用紙などは使わないように気をつけます。固有名詞(特に人名など)の途中での改行も失礼にあたるので避けましょう。

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  • 件名…簡潔で分かりやすいものを心がけます。
  • ②頭語…文章に相応しいものを選びます。
  • ③前文…本題に入る前の挨拶が主です。詳しくはLesson 4-4を参照して下さい。
  • ④主文…用件を述べます。詳しくはLesson 4-4を参照して下さい。
  • ⑤末文…主文のまとめや挨拶など、締めくくりの文章を書きます。詳しくはLesson 4-4を参照して下さい。
  • ⑥結語…②頭語に対応したものを書きます。
  • ⑦後付け…文書を作成した日時を2文字分下げて、差出人名を行末から2文字分上げて書きます。受信者名には忘れずに敬称を付けましょう。
  • ⑧副文…付け加えたいことがあるときは、「追伸」として最後に書きます。

宛名の書き方

封筒やハガキに宛名を書く際、住所を省略することは失礼にあたります。
都道府県から省略せずにきちんと書きましょう。
建物名、社名は住所より一回り小さな文字で書くとバランスがよくなります。

社名は(株)などと略さずに正式な社名を書きます。

封筒を綴じる際はきちんと糊付けし、「〆」「封」などを書きます。

社交文書の種類

Lesson 4-2の繰り返しになる部分もありますが、社交文書にはどんな種類があるのか、見てみましょう。

  • 招待状、案内状

招待状は、展示発表会やなんらかの式典・パーティーなどに相手を招待する際に使用します。
案内状も招待状と同じような性質のものですが、費用を主催者が負担する場合は「招待状」、会費などをとる場合は「案内状」を用います。

招待状や案内状では特に、開催日時・曜日や開催場所、会費などがわかりやすいように書くことが大切です。食事が出る場合はその旨もきちんと明記しておきましょう。担当社員の連絡先はもちろんですが、会場がホテルなど会社以外の場合には、開催会場の連絡先も忘れずに記すようにしましょう。出欠の確認方法などは追伸に記します。

厚手で上質のカード用紙に印刷して、白い洋形封筒で出すのが一般的です。

  • 見舞状

個人が怪我や病気をした場合や、取引先が火事や災害などにあったとき、相手の安否を気遣って送る文書です。事実かどうかの確認が取れたら、なるべくすぐに出しましょう。
社交文書全般に言えることですが、時機を逃すと失礼になることがあります。

暑中見舞いや寒中見舞いも見舞状に含まれます。これらもタイミングを逃すと、残暑見舞いの時期に暑中見舞いが届いたり、余寒見舞の時期に寒中見舞いが届いたりと、間の抜けたことになってしまいます。
次に挙げた年賀状もそうですが、時機を逃してはいけない文書の場合は、文書の作成や印刷発注のスケジュール管理も大切になってきます。

  • 年賀状

新年をお祝いする、おなじみの年賀状です。
祝い状の一種とされます。

早めに作成しておくことが大切です。外部に発注する場合、遅くても11月中旬には発注を済ませましょう。
住所変更などもチェックしながら、宛名書きも早めに済ませておきます。
投函締め切り日間際になって服喪中の通知が来る場合もあるので、なるべく締め切り日近くまで待ってから投函するようにしましょう。

  • 慶弔状

本来であれば、慶事や弔事の際には責任者が直接出向くことがマナーです。
しかしどうしても出向くことが難しい場合は、文書でお祝いやお悔やみを伝えます。
慶事、弔事どちらの場合も事実かどうかの確認が取れたらすぐに出します。

悔やみ状は、薄墨の筆で書き、頭語や前文なども省きます。
誠実さが伝わるような文章にすることが最も大切です。
また、特に注意しなければいけないのが〈重ね言葉〉を使わないことです。
重ね言葉とは、「重ね重ね」や「次々」「皆々様」など、繰り返しを用いた表現です。
これらの言葉は、繰り返しの不幸を連想させるため使わないほうがよいとされています。

普段は何気なく使っている言葉ですので、気をつけましょう。

祝い状の場合も、「別れる」「切れる」などの〈忌み言葉〉は使わないように注意しましょう。
格調高い文章を心がけることも大事ですが、気心の知れた親しい間柄であれば、前文や時候の挨拶は省略して、ストレートにお祝いを述べる文章でも問題ありません。
祝い状の場合、あまり慣用表現に頼りすぎると、美辞麗句を並べただけの気持ちが伝わらない文章になってしまいます。
多少拙くても、喜びを分かち合う気持ちを素直に書くことが大切です。

祝電、弔電は電話やホームページから申し込みます。
例文も見ることができますが、そのまま使うのではなく、例文を参考に一部の言い回しを変えるなど工夫しましょう。

  • 挨拶状

個人の転任・就任の際や、新規開店、オフィス移転などの際に使用する文書です。
基本的にはこちらのことを通知する文書ですが、一方的に自分のことを書くだけではなく、時候の挨拶や相手の体調などを思いやる言葉も忘れないようにしましょう。

また、挨拶状はたくさんの相手に出す場合が多いので、余裕を持って準備しておくように心がけましょう。

  • 礼状

礼状もタイミングが大切です。
お祝いの言葉や手紙を頂いたら、できるだけその日のうちに礼状を出すようにしましょう。
しかし、遅くなってしまったからといって出さずに済ますのもよくありません。
お礼が遅くなってしまったことへのお詫びを添えて、きちんとお礼の気持ちを伝えましょう。
祝い状と同様に、自分の気持ちを素直に書くことが大切です。

  • 紹介状

自分のよく知っている人を他者へ紹介する際に使用します。
新しい取引先に社員を紹介したり、自分の後任の社員を紹介したりと、用いられる場面の多い文書ですが、むやみに書くのは良くないともされています。

高い役職にある人が、友人や目下の人に宛てて書く場合は、名刺の裏に紹介の言葉を書いて、判を押します。
目上の人に宛てて書く場合は、きちんと書式にのっとった手紙にし、封筒に入れて封をせずに手渡します。
紹介状を書いた場合、紹介先に電話をかけておくと、紹介状を受け取る側もスムーズに対応できます。

  • 送り状(添え状)

送り状は、お中元やお歳暮などを贈る際に添える手紙です。
お中元やお歳暮は、本来ならば直接出向いて手渡しするものとされています。
しかし最近はデパートからの直送や、郵送で済ますケースが増えています。
荷物と送り状を別々に郵送する場合は、同じ日に届くように手配するのがマナーです。
お中元もお歳暮も、日頃の感謝の気持ちを込めて〈贈らせていただく〉ものです。

時候の挨拶や相手への祝意を丁寧に書きましょう。

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Lesson 4-8 まとめ

  • 社交文書は儀礼的な性格が強いため、文章表現やエチケットには細心の注意を払う必要がある。
  • 基本は縦書き。白い便箋を使う。固有名詞の途中で改行しない。
  • 宛名は省略せず正確に書く。
  • 社交文書は時機を逃すと失礼になることがあるので注意する。
  • 招待状・案内状…開催日時・曜日や、開催場所、会費などをわかりやすく書く。会場が会社以外の場合、開催会場の連絡先も忘れずに記す。
  • 大量に配布する文書は、作成や印刷発注のスケジュール管理にも気を配る。
  • 慶弔状…「忌み言葉」「重ね言葉」を使わないように注意する。