慎重すぎることはない
前回の最後に少し触れましたが、機密情報の取り扱いには充分な注意が必要です。
企業にはたくさんの機密情報があり、それを記した機密文書があります。
取り扱いを一歩間違うと、企業活動そのものが頓挫してしまったり、企業全体の信用度を著しく損ねてしまいます。
今回はそんな機密文書の取り扱い方法について学んでいきましょう。

機密文書の種類
機密文書にも、内容の重要度や性質によっていくつかの種類があります。種類ごとの特徴を見てみましょう。
- 極秘文書…企業の経営に関わる重要事項を記したもので、秘密を保つ必要性が高いものを指します。たとえば重要会議議事録や重要政策事項などで、ごく一部の限られた関係者(経営者や重役)のみが閲覧可能です。
- 秘文書…企業の重要な戦略や、人事、技術などに関する事項を記したもので、社内の特定の関係者のみが閲覧可能なものを指します。
- 社外秘文書…企業経営上、社外に公表するのは適切でないと判断された文書を指します。民間企業の場合、業務で作成された文書はすべて社外秘文書扱いとなります。社内の人であれば誰でも閲覧可能です。
- 部外秘文書…社外秘文書の中でも、特定の部署に所属する社員だけが閲覧できるものは部外秘文書となります。どちらも、取り扱いに注意を要することには変わりありません。
機密文書の管理方法
これらの機密文書には、「秘」と赤く押印して、取り扱いに注意が必要な文書であることが一目でわかるようにします。ほかの文書と一緒に取り扱うことのないようにしましょう。
極秘文書や秘文書など機密性の高い文書は、関係者以外に閲覧されることを防ぐために、鍵のかかるキャビネットや金庫などに保管します。
極秘文書の場合は、災害にも耐えられるように耐火性のあるような堅牢な金庫に保管する必要があります。
また、金庫やキャビネットの鍵や開封方法の管理方法もきちんと定め、関係者はそれを遵守しなければいけません。
原則的に、機密文書をコピーしてはいけません。
やむを得ずコピーしなくてはならないときは、コピー枚数や利用目的、誰に配布したのかをすべて記録、保存し、後からチェックできるようにしておきます。
ミスコピーはシュレッダーで処分します。
これも当然のことですが、機密文書はデスクの上に置きっぱなしにしてはいけません。
ほんのちょっと席を離れるときも、引出しの中にしまって、場合によっては鍵をかけておきましょう。
社内で機密文書を他の社員に渡す場合は、「親展」と記した封筒に入れて渡します。
くれぐれも「秘」などと書いてはいけません。
部署間での受け渡しの際には、文書受渡簿に必要事項を記入し、受領印を貰います。
機密文書を廃棄する際は、他の社員がいないときを見計らって、シュレッダーにかけるようにしましょう。ゴミ箱に捨てるようなことは無防備なのでしてはいけません。

機密文書を発送するとき
機密文書を社外に発送する場合も稀にあります。その際は必ず二重封筒にします。
内側の封筒に「秘」と記し、それが見えないように別の封筒に入れて「親展」と記し、書留か簡易書留扱いで発送します。
文書を発送したらすぐに、電話で受取人(必ず本人)に機密文書を発送したことを伝えます。
禁止事項がたくさんあり、少し窮屈な感じもしますが、機密情報の取り扱いには慎重すぎるということはありません。
注意に注意を重ねて、絶対にミスのないように心がけましょう。
Lesson 5-6 まとめ
- 極秘文書…企業の経営に関わる重要事項を記したもので、ごく一部の関係者のみが閲覧可能。
- 秘文書…社内の特定の関係者のみが閲覧可能。
- 社外秘文書…企業経営上、社外に公表するのは適切でないと判断された文書。民間企業では業務で作成された文書はすべて社外秘文書扱い。
- 部外秘文書…特定の部署に所属する社員だけが閲覧可能。
- 極秘文書は「秘」と赤く押印。
- 特に機密性の高い文書はキャビネットや金庫に保管。鍵や開封方法も厳重に管理する。
- 原則的に機密文書のコピーは不可。
- 廃棄する際は他の社員がいないときにシュレッダーで処分する。
- 社外に発送するときは二重封筒にし、親展、書留扱いにする。発送後すぐに受取人に機密文書を発送したことを伝える。