ただ歩くのはダメ
担当者の確認が取れたら、お客様を応接室へお連れします。他社を訪問する場合、
特に初めての会社の場合は、お客様も少なからず緊張しているはずです。
お客様にリラックスしていただくためにも、明るく丁寧な応対が求められます。
廊下や階段、エレベーターなどをご案内することになりますが、それぞれにマナーや席次があります。
簡単なことに思えますが、お客様に失礼のないように常に気をつけなければなりません。
今回はご案内のマナーについて学んでいきましょう。

廊下
廊下を歩くときは、お客様より2、3歩先、右斜め前を歩いて先導します。
ときどき振り向いて、お客様の歩調を確認し、スピードを合わせて歩くようにします。
もし、お客様が大きな荷物や傘などを持っている際は、一声かけて、お持ちするように心がけます。
大きめの段差がある場所では、手でその場所を示して、「お足下にお気をつけください」と注意を促すようにします。
また、社内ではお客様のご案内が優先されますので、社員とすれ違う際も、立ち止まらずに軽く会釈をするだけにとどめます。
階段
階段では、常にお客様のほうが高い位置に来るようにしましょう。
階段を上る際はお客様を先に、降りる際はその反対に、ご案内する側が後ろのお客様を先導するようにします。
ただし、お客様によっては階段で後ろから人がついてくるのを不快に思う人もいます。
そのような場合は、お客様の意思を尊重して臨機応変に対応します。
エレベーター
エレベーターにも席次があり、左奥が上座、操作盤の前が下座になります。
自分が先に乗って、操作盤の「開」ボタンを押しながら、お客様が乗るまでドアに片手を添えます。
降りる際は、進む方向を「こちらでございます」と手で示して、お客様に先に降りていただきます。
オペレーターがいるエレベーターの場合は反対に、お客様に先に乗っていただき、自分が先に降ります。
いずれの場合も、エレベーター内でお客様に背中を向けることのないように気をつけましょう。
応接室
お客様を先導して応接室まで来たら、ノックして応接室の中へご案内します。
軽く握った右手(左利きの人は左手)で、ドアを2回軽くノック(空室確認)します。
空室だと分かっていても必ずノックするようにしましょう。
その後、ドアに向かって立ち、ドアノブから遠いほうの手でドアを開けます。ドアノブが右についていれば左手で、左についていれば右手でノブを回します。このほうが姿勢が美しく見えるためだといわれています。

内開きドアの場合は、ドアを押しながら自分が先に部屋に入り、反対の手にドアノブを持ち替えてお客様を招き入れます。
外開きドアの場合は、ドアを手前に引き、お客様を先にお通しします。
席次に注意し、上座の席にお客様をお通しします。
コートや傘など、お客様の荷物を預かる際は、必ずお客様から見える位置に置くようにします。
退室するときは「失礼いたします」の一言を忘れずに。
ドアの開く向きが入室時とは逆になっているので注意が必要です。
応接室(または面会に指定された部屋)が空室であることは、お客様をご案内する前にきちんと確認しておきましょう。
お客様を案内した部屋が使用中だった場合、恥ずかしくて動揺してしまうのは自分ですし、
なによりもお客様に対して不信感を与えてしまい、大変失礼です。
応接室を綺麗に保つ

お客様をお通しする応接室は、日頃から綺麗に保っておきましょう。
雑然としていたり、清潔さが感じられないような応接室では、お客様が不快な印象を持ったり、話し合いに集中できなくなってしまいます。
テーブルや椅子の位置、テーブルカバーのシワ、花瓶の花が枯れていないか、タバコの臭いが残っていないかなど、細かいところも見逃さずに手入れをしておきましょう。
来客があることがあらかじめ分かっているときは、約束の時刻にちょうど良い室温になっているように、冷暖房で調節しておくのも大切な心配りです。
Lesson 3-3 まとめ
- 廊下を歩くときは、お客様より2、3歩先、右斜め前を歩いて先導する。
- 階段では常にお客様が高い位置に来るようにする。
- エレベーターでは左奥が上座、操作盤の前が下座。
- ドアノブは遠いほうの手で回す。内開きドアの場合は自分が先に入室し、外開きドアの場合はお客様を先にお通しする。
- 応接室は日頃から綺麗に保っておく。