最後まで気を抜かずに
担当者が来るまでお待ちいただいているお客様や、応接室で商談中のお客様と社員に、
お茶やお菓子をお出しするのも来客応対に欠かせない仕事です。
茶菓(さか)接待ともいいます。
お客様のご案内が無事に済んだ後は、少し気が抜けてしまっているかもしれません。
しかし、お茶出しは心遣いがもっとも分かりやすく伝わる場面でもある反面、決まりも多く、手を抜いているとすぐに伝わってしまいます。

お客様が社員との用件を済ましたら、お見送りです。
こちらも、つい気を抜いてしまいそうになりますが、お見送りまですべて含めて来客応対です。
用件がうまくいったかどうかには関係なく、最後まで気を引き締めてお見送りします。
今回は、些細なようで大切な二つの事柄、お茶出しとお見送りについて学んでいきましょう。
お茶の選び方
茶葉はなんでもいいというものではありません。
安いお茶は苦味も強いので、意外と簡単にわかってしまうものです。
心遣い=値段というわけではありませんが、最低でも100gあたり1000円程度の茶葉を選びましょう。
お茶にはたくさんの種類があり、それぞれに異なった効果があります。
それらを簡単に頭に入れておいて、場面や時間帯によってお茶の種類を変えるのも気配りの一つです。
朝や午後一番など、頭をスッキリさせたいときには、カフェインが多く含まれている煎茶がぴったりです。
まろやかな味の番茶は食事にも合うので、食事を伴う長時間の会議などに良いでしょう。
番茶はカフェインも少なくリラックス効果もあるため、夕方以降の時間帯や、会議の後などにも良いかもしれません。
季節に合わせて、冷たい麦茶などを出しても喜ばれるでしょう。
また、ほうじ茶はお客様には出さないのがマナーです。
お茶を出す

熱湯でいれたお茶は、香りも味も分からなくなってしまいます。
80℃前後のお湯でいれるようにしましょう。
ただし、番茶は熱湯でいれます。
お湯を湯呑みに注ぎ、湯呑みを暖めてからお湯を捨てます。
急須に茶葉とお湯を入れて、40秒ほど経ったら湯呑みに注ぎます。
湯飲みはお客様も社員も、全員同じものを使います。
同じ濃さになるように少しずつ、7分目ぐらいまで注ぎます。
お客様にお茶をお出しする基本的な流れは、次のようになります。
- ノックを3回してから、応接室に入ります。
- お盆は胸よりも少し下の位置で持って、息がかからないようにします。
ふきんも忘れずに持っていきましょう。 - お茶を出すのはお客様と社員同士の挨拶が済んでからです。
- 応接室にサイドテーブルがあればそこにお盆を置きます。
茶托はお客様にお出しするときに用意します。
茶碗の底をふきんで拭き、茶托に載せて、お客様にお持ちします。 - 最上席のお客様から、「どうぞ」と一言添えてお出しします。会話中の場合は黙礼をします。
- お客様の右側にお出しします。デスクにスペースがない場合は、お客様に一言ことわって、書類などを移動してもらってからお茶を置くか、「こちらから失礼いたします」と一言添えて、お客様の左側からお出しするようにしましょう。
湯呑みや茶托にも、お客様に対して失礼にあたる向きがあるので注意しましょう。
湯呑みと蓋の絵柄は揃えて、お客様のほうに向くようにお出しします。
茶托が木製の場合は、年輪の小丸がお客様の正面に来るようにお出しします。
お菓子も一緒にお出しする際は、まずお菓子、次にお茶の順番です。
お客様から見て左側にお菓子、右側にお茶がくるようにお出しします。
また、お客様から手土産として頂いたお菓子がある場合でも、会社で用意したお菓子をお出しするのが原則です。
見えなくなるまでお見送り

お客様をどこまでお見送りすればいいのかは、お客様との関係や会社の立地条件によっても変わってきます。
- 自分の席でお見送りする場合
応接室から出てきたお客様を、自分の席でお見送りする場合。
この場合は、その場に立って来社に対するお礼の意を伝え、お辞儀をします。
お客様が見えなくなってから座るようにしましょう。
- エレベーターまでお見送りする場合
オフィスがビルの高層階などにある場合は、エレベーターまでご案内してお見送りすることになります。
エレベーターにお客様が乗ったことを確認したら、謝意を伝えてドアが完全に閉まるまでお辞儀します。
ドアが閉まりきらないうちに頭を上げたり、背中を見せてはいけません。
- 玄関までお見送りする場合
オフィスがビルの玄関に近い場合などは玄関までお見送りします。
謝意を伝えて、玄関のドアが閉まってお客様が見えなくなるまで、お辞儀をしてお見送りします。
- お客様の車までお見送りする場合
お得意先の重役など、会社にとって重要なお客様がいらした場合には、お車のところまでお見送りする場合もあります。
謝意を伝えて、車が動き出してから完全に見えなくなるまでお辞儀をしてお見送りします。
ここでは4つの例を挙げましたが、このほかの場合でもそれぞれの場面に応じた適切な対応が必要です。
オフィスの出口までしかお見送りできない場合は、「ここで失礼いたします」と挨拶をしてお辞儀します。
基本的には、誠意を込めた対応を忘れないことが最も大切です。
Lesson 3-4 まとめ
お茶出し
- 最低でも100gあたり1000円程度の茶葉を選ぶ。場面によってお茶の種類を変えてみる。
- お茶は80℃前後のお湯でいれる。同じ濃さになるように少しずつ、7分目ぐらいまで注ぎます。
- 茶托はお客様にお出しするときに用意する。
- 湯呑みと蓋の絵柄は揃えて、お客様のほうに向くように出す。茶托は年輪の小丸がお客様の正面に来るようにする。
- お菓子、お茶の順で、お客様から見て左側にお菓子、右側にお茶。
お見送り
- 相手や場面、立地条件などでお見送りする場所も変わる。
- 基本:お辞儀をして、見えなくなるまで見送る。