Lesson 2-6 電話の取り次ぎ

まずは落ち着いて

ただ電話を受ける場合とは違って、電話の取り次ぎでは、情報を正確に伝達する能力だけではなく、スピードも必要となります。
しかし、スピードを意識するあまり、焦って対応してしまうと、思わぬミスにつながってしまうかもしれません。
取り次ぎでは、落ち着いて対応することがなによりも大切といえるでしょう。

今回は取り次ぎの基本的な流れや特有のマナーを見ていきましょう。

基本的な流れ

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電話に出るまでの流れはLesson 2-2と変わりません。
取り次ぎの場合、必ず行わなければならないのは、次の3点を確認することです。

  • 「誰から」
  • 「誰に」
  • 「用件は何か」

以上の要点を復唱して、間違いが無いかを相手に確認します。
間違いが無ければ、名指し人に取り次ぐことを伝えます。

「かしこまりました。○○様から、××へ、□□の件でのお電話ですね。ただいま××にお繋ぎいたしますので、少々お待ちください」

最後に必ず、「少々お待ちください」の一言を添えるようにしましょう。
もう少し具体的に、「○分ほど」と伝えるのも親切な印象を与えます。

次に、保留ボタンを押します。

慌てずに、ちゃんと会話が終わったことを確認してから、保留ボタンを押し、名指し人に内線コールをします。
相手にこちらの声が聞こえてしまうので、くれぐれも電話口を手で押さえたまま取り次いだりしてはいけません。

名指し人が電話に出たら、まず自分の名前を名乗ります。
内線電話であっても、まずは自分の名前を名乗るのがマナーです。
また、取り次いだ人間の名前が分からないと、電話が切れてしまったり、保留の番号を間違えた場合に、誰に確認すればいいのか分からなくなってしまいます。

「△△ですが、◎◎社の○○様から、××さん宛てに□□の件で●番にお電話が入っています」

「誰に」「誰から」「用件は何か」を簡潔にしっかりと伝えましょう。
名指し人に用件が伝わったことを確認したら、静かに受話器を置きます。

こんな場合には

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  • 電話を切ってしまった…

避けたいミスですが、保留ボタンを押すつもりで、間違えて電話を切ってしまうこともあるかもしれません。そのような場合はどうすればいいのでしょう。

途中で電話が切れてしまったら、電話をかけた側からかけ直すのがビジネス電話のマナーです。
相手がかけ直してきたら、「先ほどはお電話を切ってしまい、大変失礼いたしました」とお詫びして、すぐに名指し人につなぎましょう。
相手がかけ直してこない場合には、こちらからかけ直します。
ケースバイケースで、臨機応変に対応することが大切です。

  • 長く待たせてしまいそう…

相手にとって、待たされている時間は長く感じるものです。
保留ボタンを押してから、名指し人につなぐまでの時間が長くなりそうな場合は、いったん電話に出て、時間がかかりそうなことを伝えます。
なるべく具体的に、どのくらい時間がかかるかを伝え、待ってもらえるかどうかを確認します。

あまりにも長く待たせることになりそうな場合は、あらためてこちらからかけ直したほうが良いか確認しましょう。
もしかけ直すことになった場合は、相手の連絡先や、かけ直すのに都合の良い時間帯などを尋ねましょう。

特に気をつけること

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電話の取り次ぎには、特有の注意点があります。
特に社員の個人情報に関わることなどは、機密保持の面からもしっかり意識していなければなりません。

  • まずは相手が名乗ってから

仕事に限ったことではありませんが、電話ではまず自分の名前を名乗るのがマナーです。
相手が誰なのか確認できないうちは、電話を取り次いだり、社員の在・不在を教えてはいけません。
相手が名乗る気配がないようなら、こちらから名前を尋ねます。

  • 社員の外出先などを教えない

取り次ぐように頼まれた社員が外出している場合もあります。
そのような場合、相手には外出していることだけを伝えます。
社員の外出先や同行者などを伝える必要はありません。
余計な一言が社内機密の漏洩につながったり、社員が取引先へ訪問している場合には、その会社にも迷惑をかけてしまう場合があります。

  • 社員の個人情報を教えない

上のケースと同様に、取り次ぐように頼まれた社員が不在で、なおかつ急ぎの用件だったような場合、「直接連絡を取りたいので、○○さんの携帯電話番号を教えてほしい」などと頼まれることもあるかもしれません。
しかし、個人所有の携帯電話番号は個人情報ですから、教えてはいけません。
「個人的なことですので、恐れ入りますがお教えできないことになっております」と丁寧に、しかきっちりと断りましょう。
そのうえで、本人から折り返し連絡するようにさせることを伝え、用件や連絡先を尋ねます。

おなじように、社員の家族構成や自宅の電話番号など、社員のプライベートに関する情報も決して相手に教えてはいけません。
この場合も、相手には本人から連絡させるようにする旨を伝えます。

Lesson 2-6 まとめ

  • 焦らず落ち着いて対応する。
  • 「誰から」「誰に」「用件はなにか」を必ず確認し、取り次ぐ。
  • 相手を長く待たせる場合は、いったん電話に出て時間がかかることを伝える。
  • 社員の外出先やプライベートな情報を相手に教えてはいけない。