Lesson 2-2 電話に出る

基本的な流れ

まずは、電話に出る場合の基本的な流れを見てみましょう。
通話の内容に違いがあっても、おおまかな応対の基本はいつも変わりません。

電話が鳴ったら

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電話が鳴ったら、すぐに出るのがマナーです。
一般的に、3コール内に受話器を取るのが原則とされています。

呼び出し音の長さは、1コールが約2秒、コールとコールの間は約1秒です。ここから計算すると、3コールの呼び出し音が鳴るあいだに、約9秒が経過していることが分かります。

電話をかけて、10秒近く待たされることを想像してみてください。
または、実際にストップウォッチなどを使って、シミュレーションしてみるのもよいかもしれません。

待たされる時間というのは、実際の時間よりもずいぶん長く感じられるものです。
その一方で、待たせる側は時間を実際よりも短く感じるのです。
3コール内に出ることが原則とされているのも、納得いただけたのではないでしょうか。

「待たせない」ことが、なによりも重要です。

3コールを過ぎてしまったら、「お待たせいたしました」の一言を必ず添えるようにしましょう。
5コールを過ぎて受話器をとるような場合には、「大変お待たせいたしました」の言葉を忘れずに。
「お待たせ」の部分を強めに少し早口で話すと、誠実さと「申し訳ありません」という心境が伝わりやすくなります。

「時は金なり」というように、ビジネスの現場ではスピード感が大切です。
迅速な対応が、誠実さのひとつの目安となっていると捉えることもできます。
迅速でスムーズな対応ができていれば、確実に相手に好印象を与えることができるのです。

受話器を取る

普段の生活では、利き手で受話器を取ったり携帯電話を持つ方が多いと思いますが、ビジネス電話ではメモを取ったり、資料を参照することが必要になるため、受話器は、利き手と反対側の手で取ります。受話器は顔の横に持つようにし、あごと肩で受話器をはさんではいけません。

明るい声で、「はい」と返事をして、社名を名乗ります。
普段の感覚の延長で、「もしもし」を使いたくなるかもしれませんが、「もしもし」は、通信状況が悪いときなどに電話がつながっているか確認するための言葉なので、極力使わないようにしましょう。

相手が名乗ったら、「いつもお世話になっております」と、明るく返事をします。
「○○様でいらっしゃいますね。こちらこそ、いつもお世話になっております」と、名前の復唱も含めると、より丁寧な印象を与えることができます。また、耳にしたことを自分でもう一度口にすることで、忘れにくくなります。
自分にとっては見ず知らずの相手でも、会社にとっては大切な取引先でありお客様です。
ここでも、電話対応が〈会社の顔〉であることを忘れないように心がけます。

メモは必須

電話応対ではメモは必須です。次のことは必ずメモしましょう。

  • 日時
  • 相手の社名、部署、名前
  • 用件
  • 連絡先

メモは、相手が伝えたいことを正確に把握することや、取り次ぎの際のミスを防ぐために役立ちます。後になって読み返した際に内容が分からない、といったことが起きないように、丁寧で読みやすく、簡潔なメモを心がけましょう。

また、最近ではメモ専用のフォーマットを用意している会社も多いようです。
そのような場合、フォーマット上の必要事項を埋めただけのメモになってしまいがちです。
しかし、電話を受けた自分にしか分からないこと(口調や、推測できる相手の心理状態など)もメモするようにしておくと、取り次ぎや伝言の際に役立ちます。

当然のことですが、いつかかってくるか分からないのが電話です。
いつ電話が鳴っても、すぐに対応できるように、デスクの上は日ごろからきちんとした整理整頓を心がけましょう。
利き手のそばにノートやメモ帳とペン、その反対側に電話を配置しておくと、ムダな動きがなくなるので、突然の電話にもスムーズに対応することができます。

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受話器を置く

主なやりとりが済んだら、メモを見ながら用件の復唱をして、ミスや漏れのないように確かめます。
話の内容を整理・要約して復唱すると、相手にとっても分かりやすくなります。

最後に、「お電話ありがとうございました。失礼いたします」と、必ずお礼の言葉を伝えます。
このとき、お辞儀を忘れないように心がけましょう。
お辞儀をすると、あごが引かれるので、それが声にも反映され、誠実な印象が伝わります。
無言で電話を切ることは印象が良くないので、絶対にしてはいけません。

電話はかけてきた側が切るのがマナーです。
相手が受話器を置いたのを確認してから、静かに受話器を起きます。
相手が先に切らずに、こちらで先に切る場合は、指でフックを押して静かに切ります。
受話器を置く音は、相手の受話器には乱暴に響いてしまいますので気をつけましょう。

こんな場合には

  • 相手が名乗らなかった、名前を聞き取れなかった

電話には出たものの、相手が名乗らないこともあります。
そのようなときは柔らかく、「失礼ですが、どちら様でしょうか?」と必ず名前を確認しましょう。

また、相手の名前を聞き損なったり、メモを忘れてしまうのも、よくあることです。
そのような場合はそのままにせず、すぐに名前を確認します。
たとえば、「恐れ入りますが、もう一度お名前を確認させていただけますでしょうか」 のように、「確認」という言葉を使うことで、マイナスの印象を抑えることができます。

  • 声が聞き取りづらい

周囲の雑音や、携帯電話の電波状況などによって、相手の声が聞き取りにくいこともよくあります。
そのようなときは、「恐れ入りますが、少々お電話が遠いようなのですが…」と伝えましょう。

いずれの場合にも、きつい口調はNGです。やわらかい言葉遣いで、臨機応変に対応しましょう。

Lesson 2-2 まとめ

  • 待たせない…電話が鳴ったら、3コール以内に受話器を取る。
  • 受話器は利き手と反対側の手で取る。
  • メモを取る…社名、名前、用件、連絡先、さらにプラスアルファも。読みやすく簡潔に書く。
  • 用件の復唱は正確に。
  • こちらが先に切る場合は、指でフックを押し静かに切る。
  • どんな場合も、やわらかい口調で臨機応変に。