初対面の印象
人は、初対面の相手の印象を、主に視覚情報、聴覚情報、言語情報の3つによって判断するといわれています。
しかし、電話で会話する場合、視覚情報がありませんから、聴覚情報と言語情報の2つによって、印象が左右されることになります。
この場合、聴覚情報は〈話し方〉、言語情報は〈話の内容〉に相当します。
電話で会話をする際、丁寧な言葉遣いできちんと要点を踏まえた話ができているのに、相手に悪い印象を与えていることがあります。
このような場合、〈話の内容〉には問題が無いのですから、〈話し方〉に問題があると考えられます。
今回は電話応対で大切な、話し方について学んでいきます。
とはいっても、決して難しいことではありません。

好印象を与える「ソ」の音
まず大切なのが声のトーンです。
明るく対応することが大切なのはもちろんですが、心地よい声のトーンを意識することで、さらに好印象を与えることができます。
一般的に、耳に心地よく聞こえる声の高さは、ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ドの「ソ」の音といわれています。普段から「ソ」の音を意識して話してみましょう。
「ソ」の音といわれてもちょっと難しい…という方は、普段の話し声より少し高めのトーンを意識するだけでも、声は変わってきます。
安心感・信頼感を出したいとき
特に女性の場合、低い声よりも高い声のほうが好まれる傾向にあるようです。
「ソ」の音もそのような傾向を示すものでしょう。
しかし、電話応対では、場面に応じて声のトーンを使い分ける必要も出てきます。
お客様からの問い合わせやクレームに対応する際は、少し低めで落ち着いた声のトーンで話すと、安心感や信頼感を醸し出すことができます。
落ち着いたトーンで対応することにより、相手も落ち着きを取り戻したり、こちらを信頼してくれるようになるといった効果が期待できます。
自身がお客様相談室に電話した際の対応や、ニュース番組の女性キャスターの話し方などを参考にすると良いでしょう。
話すスピード
話の内容が頭に入りやすく、聞き取りやすいときのスピードは、1分間に300~400文字前後といわれています。
数字だけを見ても想像がつきにくいかもしれませんが、たとえば、プロのアナウンサーはニュース原稿を読む際、1分間に350文字程度のスピードで話しているそうです。
やはりニュース番組などを参考にして、話のスピード感を体得しましょう。
しかし、1分間に350文字程度のスピードはあくまでも基準です。
実際の電話応対に際しては、相手の話すスピードに合わせることが求められます。
相手が早口で話していたら同じぐらいの早口で、落ち着いてゆっくり話す相手にはやはり同じぐらいのスピードでゆっくり話すように心がけます。
小さな子供や高齢者と話すときも、ゆっくりとしたスピードでわかりやすく話すことが求められるでしょう。
相手のテンポに合わせることが、相手への配慮になります。
話すスピードをコントロールするためには、普段の自分がいったいどれくらいのスピードで話しているのかを把握しておくのも大切です。本などを読み上げ、ストップウォッチで1分間に読んだ文字数を数えてみましょう。

相槌のタイミング
相槌は、相手に「あなたの話を聞いています」ということを伝えるものです。
適度な相槌は、「きちんと話を聞いてもらっている」という安心感を相手に与えます。
くれぐれも、相手の話を遮ったり、話し終わらないうちに相槌を打ってはいけません。
話のテンポに合わせ、適切なタイミングで相槌を打ちましょう。
相手の話を丁寧に聴くことを心がけていれば、意識しなくても自然な相槌が打てるようになります。
また、「はい」や「そうですね」といった言葉だけでなく、場面に応じて、「ごもっともです」、「お察しいたします」などの言葉も上手に使いわけることで、好印象を与えることができます。
Lesson 2-3 まとめ
声のトーン
- 好印象を抱かせる…普段の声よりも少し高めのトーンを意識する(ソの音)。
- 安心感を与える…少し低めで落ち着いたトーンを意識する。
話すスピード
- 1分間に350文字前後が基準。
- 相手の話すスピードに合わせて話す。
相槌
- 適切なタイミングで、過不足なく打つ。
- 相手の話を丁寧に聴くように心がけていれば、自然な相槌が打てるようになる。