Lesson 9-3 会議の形式と会議用語

前回と前々回の2回で、おもな会議の種類にはどのようなものがあるのか、理解できたと思います。
今回は、会議形式と会議用語、会議原則について見ていきましょう。

会議の形式

会場や参加者の人数、発言の方法などによって会議もいくつかの形式に分けられます。

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  • 円卓会議

円卓を使うことから円卓会議と呼ばれますが、円卓がない場合は通常の四角いテーブルでも構いません。席次を気にしないで着席することができるので、上下関係や出席者の序列を気にしないで発言することができます。参加人数の上限は20名程度です。

  • パネルディスカッション

討論方式のひとつです。あるテーマについて、異なる意見を持つ複数の参加者(パネリスト)が公開で討論します。討論が終わったら、聴衆とのディスカッションや質疑応答を行ないます。聴衆の理解を深めることができるので、講演会のような性格を持ち合わせているとも言えます。会議全体の進行をする司会者(コーディネーター)と、パネリストとして最低3人以上が参加します。進行の都合上、パネリストの人数は多すぎてもいけません。

  • シンポジウム

公開討論会や研究発表会を指します。あるテーマについて、異なる意見を持つ複数の専門家が講演し、その後討論や質疑応答をします。パネルディスカッションと紛らわしく感じるかもしれませんが、シンポジウムは、各専門家の基調講演とそれをベースにしたパネルディスカッションを包括するものと考えるとわかりやすいのではないでしょうか。

  • フォーラム

フォーラムディスカッションの略称で、 公開討論会や公開座談会などを指します。
ひとつのテーマについて参加者同士で自由に討論します。

  • バズセッション

バズ学習とも呼ばれます。バズ(buzz)は、ハチの「ブンブン」という羽音や、「ガヤガヤ」という意味です。ここから、くつろいだ雰囲気で話し合うことも目的のひとつであるのがわかります。まず、参加者全員を1グループ6人ほどに分け、あるテーマについて時間を決めて話し合います。討議の時間が終わったら、各グループの代表者がそれぞれのグループの意見を発表し、さらに全体としての討論へと発展させていきます。
人数はあくまでも目安なので、人数が多いときや少ないときはグループの人数を調整します。

  • ブレーンストーミング

たくさんのアイディアを集めるために開かれる会議です。
詳しくは前回の「アイディア出し会議」の項目を読んで復習して下さい。

おもな会議用語

事務職は会議の司会進行や、進行の補佐を任されることも多くあります。
そのため、基本的な会議用語はきちんと覚えておく必要があります。

  • 招集…会議を開催するにあたり、会議に参加するメンバーを集めることを言います。「召集」とも書きますが、一般の企業で行なう会議の場合は「招集」と書きます。
  • 議長…会議の運営を統括する、議事進行上の責任者です。多数決によって採決をはかる際、賛成と反対が同数だった場合は、議長の一票で可否を決めます。これはキャスティングボードと呼ばれます。
  • 議案…会議で審議する議題、テーマを指します。複数の議案について討議する場合、それぞれに「1号議案」「2号議案」…と番号を振って呼びます。
  • 委任…一方の当事者(委任者)が、もう一方の当事者(受任者)に一定の行為をすることを委託することをいいます。
  • 委任状…委任事項を記載した文書のことです。会議の場での委任状は、採決に際して賛否を委任状の受任者に一任する、といった具合に用います。参加者の委任状を持っている人間は、自分の議決権に加えてその参加者の人数分の議決権を持っていることになります。
  • 定足数…会議が成立するために、最低限必要となる参加者の人数をいいます。もし参加者の人数が定足数に達しない場合、会議は成立しません。
  • 動議…あらかじめ議事進行で予定されていた議案以外の議題を出すことを指します。
  • 採決…議論をした後、議案について賛成反対の可否をとることを指します。採決には色々な方法があり、投票、挙手、起立などが特によく行なわれる採決の方法です。表決ともいいます。
  • 諮問、答申…上位にある人間や組織が、下位にある人間や組織に意見を求めることを諮問、諮問に対して答えることを答申といいます。意見を求められるのは組織内の人間だけに限られず、専門家や研究者などを招くこともあります。答申の内容は参考にされますが、そのまま結論として採用されるというわけではありません。
  • 分科会…規模の大きい会議の場合、全体会議の下に組織される、各専門分野ごとに討議を行なう小さな会議体のことを指します。
  • ファシリテーター…中立の立場で会議の進行を務める人物のことで、コーディネーターとしての役割を持っています。参加者から多様な意見を引き出し、ひとつの意見に集約して、合意に漕ぎ着けます。自分の意見を言うのではなく、参加者が発言、議論しやすい場を設定することが求められます。
  • パネラー…パネルディスカッションにおいて、問題を提起し討議する人を指します。パネリストとも呼ばれます。
  • オブザーバー…会議に出席することを許され、発言権は持っているが議決権は持っていない人のことをオブザーバーといいます。議決権を持たないのは会議の正規参加者ではないためです。立会人、傍聴人とも呼ばれます。
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会議原則とは

参加者にやる気がなく目的がなんだったのかも分からない…、ダラダラと意見がまとまらずにただただ時間だけが過ぎていく…。そんな会議ほど退屈なものはありません。
参加者が苦痛を感じるだけではなく、「時は金なり」というビジネスの原則からすれば、大変な時間とお金の浪費にもなってしまいます。

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そのようなことを防ぎ、効率的・能率的で有意義な会議を進行するための原則が会議原則です。
会議原則は、法律によって定められているものもありますが、多くは永年の経験・知識の集積によって自然と作られてきた経験則です。
会議原則にもいろいろなものがありますが、企業の会議でも有効と思われるものを2つ、簡単にご紹介します。

  • 議事公開の原則…会議は傍聴人に公開したり、作成した議事録を公刊したり、誰でも閲覧可能にするなどの方法で外部に公開しなければなりません。議事録は、会議参加者が会議の内容を後から思い出すため、欠席者が会議の内容を把握することができるようにするために作成します。一字一句正確に書き残す必要はありませんが、議論の内容を簡潔かつ正確にまとめる必要があります。
  • 一事不再議の原則…会議で一度議決した議案と同一の議案は、同一会議中にもう一度議案として取り上げて審議を行なうことは出来ないという原則です。同一会議中に異なる議決が出るようなことがあれば、会議の信用に関わることになります。

Lesson 9-3 まとめ

  • 会議の形式…円卓会議、パネルディスカッション、シンポジウム、フォーラム、バズセッション、ブレーンストーミングなど。それぞれの特色を把握しましょう。
  • 会議用語…文章にすると難解なものもありますが、日常業務や日々のニュースなどで耳にすることも多くあります。少しずつ覚えていきましょう。
  • 会議原則…議事公開の原則、一事不再議の原則は押さえておきましょう。