Lesson 9-7 議事録を作成する

ビジネス文書らしいビジネス文書

会議の議事録を作成する際、頭に置いておかなくてはいけないのは、議事録もビジネス文書のひとつであり、もっともビジネス文書らしいビジネス文書かもしれないということです。

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ここでもう一度、Lesson 4-1を読み返してみましょう。
ビジネス文書の原則は、「正確さ」「簡潔さ」「わかりやすさ」でした。
議事録は、会議の参加者にとっても、参加しなかった人間にとっても、同じように「正確」で「簡潔」で「わかりやすい」ものでなければなりません。
このことを頭に留めつつ、議事録の作成の方法を見ていきましょう。

事前の準備

議事録は、いきなり会議に臨んで書けるものではありません。
参加者が、自分にもわかる言葉で話してくれるという保証はないからです。
たとえば、聞いたことのない専門用語が飛び出すかもしれませんし、「このあいだの会議で言ったアレさぁ」と言われても、その会議に出席していなければなんのことを言っているのか知る術もありません。何を話しているのかわからなければ、メモのしようもありません。

そのようなことを出来る限り防ぐために、会議の内容について事前に把握しておくことは大切です。その会議の名称、扱う議案、参加者の名前などは、簡単に把握することができると思います。
しかし、参加者の名前は確認するだけでなく、顔と名前が一致するようにしておきましょう。

会議で扱う議案についての知識を深めることも必要です。頻出する専門用語は一通りメモしておきましょう。

議事録を書くには議事録を読む

たとえ定例会議ではなくても、過去に似たような会議があれば、その議事録を取り寄せて読んでみましょう。
書式などは、いままでのフォーマットに則ったほうが周囲の人にとって「わかりやすい」ものになりますし、なにより自分で一からフォーマットを考える必要がありません。

議事録を読んで、その会議で「誰がどんな意見を言ったか」「どんなことが決定したか」「どんな経緯で決定したのか」が把握できれば、その議事録は優秀な議事録ということになりますから、ぜひ参考にしましょう。
逆に、議事録を読んでも会議の内容が掴みにくいようであれば、あまり良い議事録とは言えません。
しかし、なぜわかりにくいのかを考えることで、どうすればわかりやすい議事録が書けるのかを割り出すことができます。
わかりにくいからといってすぐにページを閉じずに、反面教師として活用してしまいましょう。

また、会議ではどういった専門用語が話されるのか、○○さんはこういう局面で発言が増えるけど××さんは口数が減るのか…等、確認できる事柄はたくさんあります。
会議に臨むにあたって、有用と思われることは貪欲に吸収しましょう。

メモの取り方

会議中、メモを取るには、ノートやPCを使います。
タイピングが得意な人なら、PCを使うのも良いでしょう。
しかし、会場の大きさによってはタイピングの音で参加者が会議に集中できないといったことも考えられます。
また、ノートであれば簡単な図や覚え書きを書き込んでおくことも出来るので、慣れないうちはノートにメモをとることをおすすめします。
見開きを活用し、左ページに発言、右に会場の空気を書いたり、左ページに賛成派、右ページに反対派の意見を書くなど、自分なりに工夫してみましょう。

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会議中の会話は、残さず記録しておく必要があります。
すべてを書き起こしておくことは難しいので、ICレコーダーで会議を録音しましょう。
会場のどの席で発言してもきちんと音声を拾える、指向性の広いものを使います。

ノートには、議論の要点だけではなく、会場の空気がわかるようなメモも残しておきます。
後で録音を聞き返すから…と油断していてはいけません。
発言のニュアンスや、それを聞いた参加者の表情などは、会議に参加した人間でないとわかりません。どのような文脈でその言葉が発せられたのかを把握していないと、わかりやすく正確な議事録を作成することはできないのです。

議事録にまとめる

会議中に取ったメモをベースに、議事録をまとめます。必ず記載しなければならない項目として、以下のようなものがあります。

  • 会議名
  • 開催日時、場所
  • 主催者名、議長名、司会者名、参加者名、欠席者名、参加者人数、欠席者人数
  • 議題
  • 発言者と主な発言の内容
  • 決議事項、結論
  • 議事録作成者名

会議の参加者名は、まず社外の人間、次に社内の人間の順で役職順に名前を書きます。
発言部分は、ICレコーダーの録音とメモをベースに、過去の議事録を参考にしてまとめると良いでしょう。

議事録はおこなわれた会話の順序そのままに書く必要はありません。
議案ごとに、大きな話題→小さな話題の順に簡潔にまとめましょう。
会議中「あれ」「これ」「そんな」など曖昧に表現された言葉は、きちんと書き言葉に改めます。

また、オフレコの会話は議事録に残さないよう気をつけます。

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ひととおり書き終わったら読み返して、以下の点をチェックしましょう。

  • 決定事項がすぐに把握できること
  • どういった経緯で決定事項に至ったのか、簡潔にまとめてあること
  • 誰がどのような発言をしたのか、きちんと記録されていること

とりあえず大きな問題がないと判断したら、すぐに提出して上司にチェックを仰ぎましょう。
議事録の作成には時間が掛かってしまいがちですが、会議から日が経ってしまうと参加者自身も自分の発言に自信を持てなくなってしまい、議事録が正確なものかどうかの判断が曖昧になってしまうことも考えられます。
そのようなことのないように、議事録はなるべく早めの提出を心がけましょう。

Lesson 9-7 まとめ

  • 会議の内容や過去の議事録について、事前に学習しておく。
  • ノートには、議論の要点だけではなく会場の空気がわかるようなメモも残しておく。
  • 会議の参加者名は、社外の人間、次に社内の人間の順で、役職順に書く。
  • 議案ごとに、大きな話題→小さな話題の順に簡潔にまとめる。
  • 話し言葉は書き言葉に改める。
  • 議事録はなるべく早めの提出を心がける。